野生のパンジー

文化人類学の話

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

歴史、因果、恣意性

歴史ってなんだろう。「日本の歴史」とか「クリミア戦争の歴史」、あるいは「思想史」とか呼ばれるそれらのもの、それらが共通してもっているものはなんだろうか。いろいろ考えることができる。あらゆる出来事を時系列に沿って並べたものを歴史というのだろ…

人種を脱構築

・人種と民族 さて、また問題のある話題である。人種。人種と民族という人間を分ける2つの方法の違いくらいは知っているでしょう。今更説明するほどのことでもないとはわかっていながらもちょっと説明しよう。民族っていうのは人間を文化的な特徴によって分…

規則に従うということ

・「赤信号で止まり」ながら「規則に従う」 なんかどうも規則に従うとはどういうことか勘違いしてる人がいるみたい。先に書いた文章、「文化と呼ばれるさまざまなことがら③」で挙げた体系性の話を友人としていた時の話。あの文章で言いたかったのはつまり、…

文化と呼ばれるさまざまなことがら③

・「社会的なるもの」 人類学は本当に他者表象の学問だったのだろうか。そうでないとすればどのような学問だったのだろうか。人類学の歴史を見るに、必ずしもそうではなかった。むしろ、個人や民族と呼ばれる集合態に還元しえないような「社会的なるもの」の…

文化と呼ばれるさまざまなことがら②

・他者表象への批判 人類学は他者表象の学問だという認識が一般的である。人類学といえば〇〇人、〇〇族のあるいはそれらの社会・文化の研究をする学問であると自己を規定し、また他者からもそのように思われていた。人類学が対象として取り組んできたことが…

文化と呼ばれるさまざまなことがら①

・そもそも<文化>とは何ぞや? 私は文化人類学を専攻しているが、よく親や友人から「なんの研究をしてるの?」と聞かれる。困った質問である。その場合はたいてい、本当は違うのだがいちいち説明するのも面倒なので「フィジーの文化です」と答える。しかし…